『正法眼蔵』「道心」(9) 第102号
また、一生のうちに仏をつくりたてまつらんといとなむべし。
つくりたてまつりては、三種の供養したてまつるべし。
三種とは、草座(そうざ)、石蜜奨(しゃくみつそう)、燃灯(ねんとう)なり。
これをくやうしたてまつるべし。

 〔訳〕
 また、生涯のうちに、仏像を造りたてまつろうとこころがけるがよい。
造りたてまつって、三種の供養をたてまつるがよい。
 その三種とは、坐る場所に敷く布製の座具と、氷砂糖を水に
とかしたものと、お灯明のことである。これらを供養したてまつるのがよい。

 ここで、一生のうちに、仏像をつくりなさいと、お示しになっています。
 そして、その仏像は、草座、石蜜奨、燃灯などをおそなえし、
ご供養しなさいとお説きになるのであります。
 道元禅師の教えとしては、きわめてめずらしい内容です。
 道元禅師ご自身がお刻みになった仏像は、寡聞にして、私は知りません。
一、二の伝説はありますが、さだかではありません。
 さて、ここで、仏をつくりたてまつれとおすすめになっていますが、
どのような仏さまでしょうか。
 おそらく、お釈迦さまか、観世音菩薩ではなかろうかと推察されます。
大日如来とか、阿弥陀如来とか、不動明王とか、特定してありませんので、
よくわかりません。ですから、あるいは、特定しない仏さまかも知れません。


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