合掌 手を合わせる 第106号
昨年、東京でオリンピック開催が決定したときの一つの要因と
して、滝川クリステルさんが、「お・も・て・な・し」、そして
合掌し、低頭(ていず)したことでした。これは、日本人に、大きな共鳴と
感動を与えました。
今年の二月、ソチ冬期五輪のフィギュアスケート団体女子ブリ
ーの演技を終えた鈴木明子選手は、チームメートに向って、合掌
しました。新聞第一面に大きく出ていました。
しかし、また、昨年、四月、関越自動車道の高速ツァーバス事
故から一年たったその日、群馬県の現場で妻や少女を失ったかた
がたが合掌していました。富山県高岡市でも遺族が墓前で合掌し
ていました。
さらに、また、今年二月、東日本大震災で津波発生時に兵庫県
で競走を終了したあと、老若男女の参加者が合掌して、海に向い、
冥福を祈っていました。私は心打たれました。
合掌は、そのむかし、仏教とともにわが国に伝わったようです。
仏さまや菩薩さまに胸のあたりで手を合わせる1合掌して、ま
こころをささげます。
人は誰でも、まこころをささげることができます。まこころを
ささげて感謝をあらわします。祈りや反省をあらわします。
まこころから合掌するすがたに、人は、文句なしに誰でも、感
動します。
もちろん、合掌に対するうけとめ方は、いろいろあるでしょう。
しかし、巧言令色や美辞麗句を超えたまごころこそ、合掌の真実
というべきでしょう。

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