ことばの乱用 120号
 宗教(religion)の訳は、もともと仏教のことを指す(華厳経。碧巌集)。Religionとは、神と再び結びあう、即ちキリスト教のことだと、私たちは、川田熊太郎先生(東大、駒大教授)から教えられた。
 仏教を英語でブッディズム(Buddhism)と表現するが、仏教はもともとイデオロギーやイズムではない、南方仏教では、ブッダズ・ティーチングスとよんでいる。その方がふさわしいと、中村元先生(東大)、大学院で水野弘元先生(東大、駒大総長)は示された。
 世に、仏教は多神教で偶像崇拝だというが、これもまちがいだと、私は、そのうち気づいたのである。
 また、禅はメディテーション(瞑想)だと英訳するのが圧倒的多数だが、これは出鱈目だ。坐禅はザゼンZAZENでいいのだ。その中味は、ものを考えない、ただ坐るということに尽きる。
 大乗寺で、一所懸命に坐禅をしたが、なかなか「無」になれなかったなどと感想文を書いている人がいるが、私は「無」になれなどと言ったことは一度もない。

戻る