お彼岸のこと 第13号
 お彼岸は、春分の日、秋分の日のお中日を中心に、前後3日間づつ、7日間においてお寺におまいりし、お墓をお掃除して、お花やお香をおそなえし、先祖供養の法要が行われる仏教行事です。
お彼岸とは、文字どおり、彼(か)の岸、向こう岸のことです。
お彼岸は、真実の世界、苦しみ悩みのない世界とすれば、こちらの岸すなわち此岸(しがん)は、うそいつわりの世界、不安と絶望の世界となりましょう。
お彼岸の世界は、どんな世界か。また、お彼岸に行くにはどうしたらよいのか。
 お彼岸の時期は、「暑さ寒さも彼岸まで」というとおり、熱くもなく、寒くもない、おだやかで、静かな季節です。
また、お彼岸のお中日は、ちょうど昼の時間と夜の時間がひとしいとされています。一方にかたよらないのです。
 この日、大阪の四天王寺の正門の西に位置するところは、真西の方角にあたり、日没時には大きな太陽があたりを真赤に染めながら、ゆっくりゆっくり沈んでいくのです。平安時代からこの日没の方向を極楽浄土とうけとめて、お念仏を称え彼(か)の地に生れることを願ったのです。
 このように、日本人は、日本の季節や自然現象と宗教的心情とを重ねあわせて、お彼岸の行事をつくりだしたのでしょう。おそらく日本だけの仏教行事ではないでしょうか。
 このお彼岸にわたるには、六つの実践項目が説かれています。
六波羅蜜(ろくはらみつ)といいます。
 1、布施(ふせ)   −ほどこしをする。
 2、持戒(じかい)  −生活にきまりをつける。
 3、忍辱(にんにく) −忍耐。
 4、精進(しょうじん)−努力する。
 5、禅定(ぜんじょう)−姿勢を正しくし、呼吸をととのえ、静かな心をたもつ。
 6、智慧(ちえ)   −叡智で真実をさとる。





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