「いろはにほへと」(4) 第17号
 諸行無常−すべてのものはうつりかわる。
 諸法無我−すべてのものはかかわりあってなりたっている。
 こんどは、「一切皆苦(いっさいかいく)」ということについて、しるしましょう。
この世のすべては、みな苦しいことばかりであるというのです。
もちろん、この世には苦しみもあるでしょうが、楽しいこともあるでしょう。しかし、どちらかといえば、苦しいことの方が多いのではないですかというのです。
生れる苦しみ、老いる苦しみ、病いの苦しみ、死ぬ苦しみ・・・四苦(しく)といいます。
愛する人と別離の苦しみ、嫌いで、憎い人とともに暮らす苦しみ、思い通りにならない苦しみ、これらをまとめた人生のこと、この四つの苦しみと、さきの苦しみとをあわせて八苦(はっく)とし、ひとくちに四苦八苦といっています。
このほかにも、この世の苦しみ悩みは、かずかぎりなくあります。また新しく生じます。
 自分でいろいろと考えたり、だれかに相談したり、あるいは政治、行政の力で解決出来る範囲の苦しみ悩みならばともかく、それ以外に解決の方法がない苦しみ悩みは、どうすればよいのでしょうか。
 それは、いちがいにはお答え出来ないとおもいます。
けれども、もだえ苦しむなかで、その苦しみ悩みを真正面からうけとめ、苦しみ悩みと一体となっていくとき、必ず一条の光明に照らされて、活路を見だすことが出来る・・・それが仏教の不思議な力であり、ご信心であるということが出来ましょう。
 私も、仏教によって救われたひとりです。




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