「いろはにほへと」(5) 第18号
 これまで、
 諸行無常(第14、15号)
 諸法無我(第16号)
 一切皆苦(第17号)
 をとりあげてきました。
 ここでは、
 「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」
のことについてしるしておきます。
 諸行無常、諸法無我、一切皆苦、涅槃寂静は、仏教の四法印(しほういん・四つの法印。法印とは、真理(法)のしるし(印)のこと)といわれています。
仏教のおしえの四つの特徴ということ。
 さて、「涅槃」は、インドの古いことばサンスクリットでニルバーナ。吹き消す、またはその状態。
苦しみ悩みの燃えさかる炎が消えることが「涅槃」。
お釈迦さまの死を「涅槃」ともいいます。
その「涅槃」の境地は、「寂静」です。しずかということです。そこで、ここに「涅槃寂静」という表現が生れたのです。
さて、また、「涅槃」は、苦しみ悩みを離れたしずかな世界なのですが、実は、その「涅槃」にもとらわれることのない境地なのです。
 愛と憎しみ、真実と虚偽、美とみにくいもの、善と悪、聖なるものと俗なるもの、これらのそのいずれをものりこえて、おだやかな境地こそ、「涅槃寂静」といっていいでしょう。
 すずかな微笑をたたえ、うれいをふくんだまなざしの偉大なるお方・・ブッダ釈尊こそ、まさにその人であります。




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