長嶋茂雄さんのこと 第21号
 あの元気いっぱいのミスターこと長嶋茂雄さんが、脳梗塞で入院されたときには、いささかびっくりしました。
退院して、リハビリテーション施設に移り、本格的な機能回復をめざすという新聞記事を読んで、私もほっとしました。
 私の友人、萩野映明老師は、長嶋さんと長い交流関係があります。
 お二人のことは、これまで、さまざまなマスメデイアで紹介されていますから、ご存知のお方も多いことでしょう。
 こんど、私が、あらためて知ったのは、長嶋さんは、朝の四時、五時から、二時間くらい坐禅をしていると、週刊誌が報じていたことです。ときには、五時間くらいも坐禅をすることがあるそうです。
 私たちは、萩野さんのご好意で、平成十三年の九月七日(金)、東京ドームに、長嶋さんをたずねました。
 長嶋さんとご一緒に写真を撮ったり、いろいろお話をうかがったりしました。私には、色紙に「野球というスポーツは人生そのものだ! 東 隆眞様 長嶋茂雄」としたためてもらいました。私は、仏教、禅に関する私の二、三の著書をおわたししました。実に、たのしい一刻でした。
 長嶋さんの印象は、ひとことでいえば、スポーツマンシップのゆたかなお方だということです。直立不動で対応され、笑みをたやさず、終始けんきょな物腰でした。
 実は、長嶋さんと私は、同じ年齢です。
 私の子供時代、まわりには、野球しかありませんでした。
 私は、いなかの中学校で野球部に所属し、母がつくってくれた布製のグローブをつかって、セカンドをまもり、キャプテンをやっていました。
 野球少年は、返事がハキハキしている。姿勢がいい。瞳がかがやいている。礼儀ただしい。明るい。などなど。
その野球少年の典型的なすがたを、私は、そのとき長嶋さんに重ねて見たのです。そして、全体にただようすばらしいお人柄を感じたのです。
 私たちとお会いして、一週間ばかりあとで、巨人軍監督を引退されました。
 ともあれ、長嶋さんのご清祥を念じ、念じています。






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