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平成十六年の九月、私たちは、中国の浙江省寧波市を中心に、代表的な仏教寺院を巡拝してまいりました。 浙江省には、そのむかし、五山(ござん・万寿寺(まんじゅじ)、霊隠寺(りんにんじ)、天童寺(てんどうじ)、浄慈寺(じんずじ)、広利寺(こうりじ))とよばれる古刹があります。 鎌倉時代、七百数十年のむかし、わが大乘寺ご開山・徹通義介禅師は、四年間にわたって、中国に留学されました。 ご開山は、諸山を歴訪して、その成果を『五山十刹図(ござんじっさつず・旧国宝。現国指定重要文化財)』としてまとめられたといいます。いまも大乘寺に伝わっています(石川県立美術館寄託)。 しかし、かつて五山とよばれた大寺院も、荒廃をくりかえして、すっかり変貌して、むかしのままではなかったのですが、今はとても立派な伽藍になっています。 かつての五山は、心のよりどころとしてのお寺ということで、中国政府も大切に助成し、保護しているそうです。 私は、昭和五十四年、同六十二年にも訪中しました。 以前と比較してことなるところはいろいろありますが、とくにとりあげたいのは、お寺に若い人たちが、たくさんお参りしているということです。 そして、彼らは、仏さまに対して、真摯に敬虔にお祈りしています。 二十代の男女が、どこのお寺でも真剣に礼拝し、香をささげています。 こういう光景をみてわが日本の現実に思いを馳せたのでした。 わが国では、神社、仏閣に訪れた若い人たちが、ひたすら拝んでいるといった光景には、めったにお目にかかることはないようです。だからといって、単純にどちらがいいとかわるいとかは言えないかも知れません。 しかし、このような中国と日本のちがいは、どのようにうけとめればよいのでしょうか。
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