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2001年9月11日、アメリカでの同時多発テロで、一瞬のうちに6500人あまりの犠牲者が出ました。犯人は、過激な一部のイスラーム教徒だとされました。また、この文章を書いている現在、アメリカなどのイラクへの攻撃は、今日か明日かと、世界中は不安なまなざしで見守っております。 ところで、日本の仏教とくに曹洞宗(そうとうしゅう)と日本のイスラームとの接点は、これまであまり知られていないようです。 (1) およそ百年ほどむかし、明治38年(1905)、のちの駒澤大学学長・惣滑谷快天(ぬかりやかいてん)博士(1876-1934)は、日本で第4番目のムハンマド(マホメット)の伝記『怪傑マホメット』という先駆的な本を書いています。 (2) 昭和13年(1938)、駒澤大学には、大久保幸次教授(1889-1950)を所長とする「回教圏研究所」が設立されました。わが国のイスラーム学の母胎です。 (3) 曹洞宗の静岡県・泉竜寺の住職でもあった鏡島寛之(かがみしまかんし)(1912-1946)は、「回教教理」「各国におけるコーランの翻訳」という抜群の大論文をのこしています。 (4) 昭和44年(1969)、山梨県塩山市の曹洞宗・文殊院に、日本で唯一のイスラーム教徒の霊園が開設されています。 (5) 平成13年(2001)、曹洞宗青年会は、カンボジアのイスラーム教徒の村に、宗教のちがいをこえて、小学校を建設しました。 (6) ついでながら、現在のイラン大使館は、埼玉県の曹洞宗・竜穏寺の宿寺の跡地でした。 さて、仏教とイスラームとの対話は可能でしょうか。仏教やイスラームをはじめとする諸宗教と仏教との共存、共生は、はたして実現出来るのでしょうか。 出来ないという考えのお方もいらっしゃるでしょう。 私は、出来る−いや、その努力をしたいと願っています。そうでなければ、おたがいが自滅の方向へ進むしかないでしょう。 おたがいが、それぞれのちがいをみとめあい、共通の最終目的とする世界平和へ向かって協力しなければなりません。 そのための一つとして、仏教とイスラームとの接点を、ご紹介する次第です。
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